先日開催いたしました、”子どもの病気・障がいと「はたらく」の両立@インスタライブ開催 #12月は寄付月間”のレポートを公開いたします。
当日ご参加いただけなかった方も、ぜひご覧くださいね!
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1. 付き添いの現場からみる、小児がん患者のご家族の「はたらく」
~65%もの保護者が子どもの入院によって休職・退職を選択する~
2. 病気・障がいのお子さんのご家族×新しい「はたらく」のカタチ
~サポートとのキャリアアップの両立は、どんな環境で実現できるのか?~
3. Q&Aタイム
~職場の理解がないと、家族の負担が増し続ける~
4. 最後に
~子どもの未来を救うために。「寄付」という選択肢~
自分の子どもに、病気や障がいなどで特別なサポートが必要になったとき、親である自分は、今の仕事を続けられるでしょうか。
そんな不安を持つ方々のために開催された、今回のトークイベント。ゲストは、認定NPO法人ジャパンハート理事長・吉岡春菜氏です。サクラグ代表・遠藤洋之と「子どもの病気・障がいと仕事の両立」について話し合いました。
「SmileSmilePROJECT」を通して小児がんと向き合う子どもたちとその家族をサポートするジャパンハートと、ハンディがある子どもをもつメンバーが、多様なはたらき方を通して順調にキャリアアップしているサクラグ。
それぞれの実体験を交えながら、病気・障がいを持つ子どもたちのサポートをする親たちの現状や、両立して「はたらく」ためにはどのような環境が必要なのか?など、当事者であるゲストスピーカーのママメンバーを交えて一緒に考えました。
付き添いの現場からみる、小児がん患者のご家族の「はたらく」~65%もの保護者が子どもの入院によって休職・退職を選択する~
まずは、吉岡氏から「小児がんの子どもを持つ家族のはたらき方」についてアンケート結果を共有していただきました。
詳しいデータは以下のとおりです。
(「SmileSmilePROJECT」に参加した家族75組に質問し、そのうち54組が回答。)
Q.子どもが入院・治療中、自分のはたらき方を変えましたか。
変えなかった…10%
フレックスタイムなどの制度を利用した…12.5%
休職した…27.5%
退職した…37.5%
「休職した」「退職した」を選択した保護者は、なんと65%にも及びます。
保護者の多くが、子どもの病気によってキャリアアップをあきらめなくてはいけない現状がわかりました。
また、その他のデータによると、8割もの家庭が収入減少に悩まされたとのこと。
保護者(多くの場合、母親)が通院の付き添いや世話を行うため、以前のようなはたらき方を続けることが難しくなるからです。
子どもの治療費をまかなうために、ほかの子どもの習いごとを辞めさせたり、食費を切り詰めたりする家庭も少なくないそうです。
この情報を聞いた遠藤は、「このアンケート結果は、吉岡さんのイメージと合っていましたか」と質問。
吉岡氏は、「ほとんどの人が会社を辞めているのかと思っていたけれど、在宅勤務やフレックスタイムの活用を選んだ人が思ったより多くて意外でした」と回答しました。
ほとんどの企業で柔軟なはたらき方ができるようになれば、子どもが病気になっても仕事を休職・退職せずにすみます。
保護者の負担を減らすためにも、社会がもっと変わってほしい…ふたりとも同じ思いを口にしました。
病気・障がいのお子さんのご家族×新しい「はたらく」のカタチ~サポートとのキャリアアップの両立は、どんな環境で実現できるのか?~
次に、2名のゲストが追加で登場しました。サクラグメンバーである、岡(右下)と宮本(左下)です。
採用担当岡は、現在2人の子どもを子育て中で、発達障害のグレーゾーンである下のお子さんが、最近療育施設い始めたところです。週1回の通所の必要があるため、元々週5勤務だったところを、週4勤務に切り替えました。。
宮本は、社内の内部統制を担当しています。娘さんが2人おり、下の娘さんが先天性の重度難聴です。現在は、ほぼフォローの必要がない状態とのことですが、サクラグにジョインするまでの10年間は、通院サポートなどを理由にキャリアブランクがありました。
お2人ともハンディがあるお子さんをお持ちですが、現在、自分らしく無理なくキャリアを積めているとのこと。
その理由は、DEI推進に全社をあげて取り組むサクラグの環境と働きやすさにあるそうです。
吉岡氏が遠藤・岡・宮本にインタビューをする形式で、「子どもの病気や障がいと仕事を両立させる、新しいはたらき方」について意見を交わし合いました。
「これ、あってよかった!」と思えるサクラグの仕組みを尋ねられると、社員の2人はあふれるように言葉をつむいでいきます。
岡「定期的に、上司と一対一で話す機会があることです。今後のキャリアプランについて気軽に相談できます」
宮本「自由に勤務形態を決められることです。コアタイムも存在しますが、必須のものではなく、家族優先で業務を進めることができています。」
これに続いて遠藤は、「時短勤務などは、あくまではたらきやすさの進化における1.0です。その人たちがどれだけキャリアアップできるかが、2.0。はたらき方に制限がある人の力を発揮させることが、会社にとって重要です」と回答。
この意見を聞いた吉岡氏は、「経営者の一方通行ではなく、社員と気持ちが共鳴しているところが良いですね」とコメント。
サクラグでは、仕事をしてくれる社員あってこそのシステム、という考えかたから、はたらき方の多様性が生まれてきている様です。
Q&Aタイム~職場の理解がないと、家族の負担が増し続ける~
続いて、視聴者からの質問に出演者が答えていく時間では、このような質問が投げかけられました。
Q1.「子どもの通院によって、日々の予定は決まりづらくなるものですか」
これに対して宮本は、「通院よりも、急なアクシデントに対するイレギュラー対応の方が大変です」と回答。実体験によると、人工内耳のバッテリーを忘れるたびに学校へ届けているとか。でも、サクラグの柔軟な勤務形態のおかげで、仕事に支障が出たことはほぼないそうです。
Q2.「子どもの世話で休みが続き、どうしても仕事が間に合わないときは、どう調整していますか」
岡は、「上司にスケジュールの現状を話して、随時仕事を割り振りなおしてもらいます」と回答。子どもの通院やケアについて上司がしっかり理解してくれる環境があると、精神的負担が少なく安心して仕事ができるんですね。
Q3.「ジャパンハートさんから見て、小児がんサポートで1番大変なことは何ですか」
吉岡氏によると、「治療によって家族がバラバラになってしまうことと、金銭的な負担です」とのこと。
なぜなら、難病を治療する場合、治療施設が限定されているからです。母親が病気の子どもに付き添わなければならないので、家を空けることになります。父親の家事負担を減らすためにほかの子どもが祖父母の家で過ごすようになると、一時的に家族は分裂してしまうでしょう。
そして、宿泊費のサポートが受けられない場合、自宅から離れた場所での治療による金銭的負担はかなりのものです。
こういったしんどさが、家族をじりじりと追い詰めていきます。
最後に~子どもの未来を救うために。「寄付」という選択肢~
充実した意見交換が進むうちに、イベントはそろそろお開きの時間に。
最後に、今後の意気込みやメッセージをそれぞれ発表することになりました。
岡「療育施設に通うことで、子どもとの時間がより多く築けていると思えるようになりました。来年も、この幸せを保てるように頑張りたいです」
宮本「これからほかの会社も、自由で柔軟なはたらき方ができるようになったらうれしいです。そうすれば、母親だけでなく、父親も看病を担えますから」
そして遠藤は、「子どもにもっとお金をかける国になってほしい」という吉岡氏の言葉に感銘を受けたそうです。
子どもは、国が持つ唯一の宝。どんな境遇の子どもにも、平等にチャンスが与えられなければいけません。そんな国づくりに関わりたいという気持ちが、よりいっそう増した様子でした。
吉岡氏も、このイベントを通して、まだまだ知らないことがたくさんあると感じたそうです。これからの活動に活かしていきたいと、強い決意をにじませていました。
12月は、寄付月間(※)です。
今回のイベントでゲスト出演してくださった吉岡氏が所属するNPO法人ジャパンハートは、活動へのご理解とご支援をお願いしています。
ふるさと納税を使った寄付(佐賀県との協定。食器などのリターンもあり)や、古本の買取額をそのまま寄付できる古本での医療支援などを受付中です。
病気や障がいのある子どもを育てる家族のために、寄付を行ってみませんか。
気軽なご参加をお待ちしております。
・ジャパンハートHP:https://www.japanheart.org/
※寄付月間(Giving December):寄付文化を構築するため、全国的に行われる啓発キャンペーンのこと。12月の1ヶ月間を「寄付月間」とし、企業、NPO、大学、行政、個人などが協力して寄付文化を盛り上げていこうとするムーブメント。
・寄付月間HP https://giving12.jp/